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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
それ程の大問題であったから、統一党はいかにもして愛蘭自治の実現を妨げんと欲し、その一手段としてここにまたレフェレンダムの説を唱え出したのである。在野党は曰く、かくの如き重大なる問題は、出来るだけ鄭重の手続を尽くし、念には念を押すを至当とする。それには議会の決議だけでは不充分である。この外更に人民一般の意見をも直接に徴して、真に民意のあるところを慎重に究めてから、決行すべきであると。この口実の許に彼らは熱心に人民投票の説を主張したのである。さて内乱の徴いよいよ明白となるや、政治家の中頗る形勢の重大を憂慮するものあり、在朝在野両党の間に立って親切に斡旋の労を取るものさえあったが、その際にもやはり妥協の条件としてレフェレンダムの説を担ぎ出すものがあった。在野党は曰う、この方法でいよいよ敗北をすれば、その時には立派に兜を脱ぐ。しかしこれに由って真に民意のあるところを明らかにせざる以上は、たとえ議院多数の決議ありといえども直ちにこれに屈する事は出来ないと。こういうような理由で英吉利においては最近レフェレンダムの主張を見たのである。これらの沿革を明らかにする時は、英国の政治家が一般の主義としてレフェレンダムを賛し、これを目して必ずしも代議政治と相並んでその欠点を補うに足るものとなせるに非ざることは明白である。