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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

予輩は日本人一般の道徳的思想というものを押し並べて非常に低いものとは思わない。けれども選挙については、そが新しい経験に属するためにや、甚だしく道徳が無視されて居る事を遺憾とする。ここにおいて我々は国民に向って大いに選挙道徳を鼓吹するの必要を感ずるものである。

しからば、いかなる点を篤と国民に了解して貰うのかというに、一つは我々の投ずる一票が一票としては甚だ無力のように見えるけれども、しかしこれが実に国家の運命に関わる重大なる価値あるものであるということである。僅かの金銭や脅迫等のために左右せらるるには余りに神聖なものであるという事である。二つには投票は国家のためにするものであって、地方の利益のためにするのではないという事である。地方的利益のみを着眼して選挙するのは、往々にして国家全体の利益を犠牲にするの結果を生ずるの恐れがある。三つには選挙は我々の特権であって候補者から頼まれてするものではない。我々が自ら進んで適当なる候補者を国家に推薦するのであるということである。この三つの点を沁みじみと人民の頭に入れることが今日実に極めて肝要である。中にも第三の点は最も肝要であって、この点が明白でないと、往々にして腐敗手段の跋扈を来すことになる。