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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
五一―五六頁参照)。もっとも選挙権の拡張は以上の立場からばかりでなく、選挙の本質に関する理想上の要求としても唱えられて居る。そは、一体選挙ということは広く国民一般の代表者を挙ぐるというが本来の趣意である。もっとも乾燥な法律論よりいえば、選挙は委託に非ず、代議士は国民の代表者に非ずというかも知れぬ。けれども政治上代議士が立派に国民の代表者たることは一点の疑いはない。従って代議士は一部分の階級のみの代表者であってはならない。故にその選挙に与るものの範囲は、出来るだけ広きを可とする道理である。昔は天賦人権説などを楯として、凡ての国民の参政権を享有すべきを主張するものもあったけれども、この論の今日に通用せざるはもとより論を俟たない。一部の人はまた今日国民一般の普ねく選挙権を有せざる可からざる所以は、国民が一般に納税と兵役との義務を負担して居るがためなりという者もある。しかしこの論もまたもとより誤りである。何となれば、選挙権はもと国家に対する国民義務の報償として与えらるるものでないからである。故にこれらの論拠より選挙権の普及を説くは誤りである。けれども、しかし選挙の目的が本来国民一般の全体の利益を代表せしむるにあるという政治上の根拠は、今も昔も変らない。