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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

しかしてこれらの国を外にして今日少なくとも婦人参政権論が欧洲各国に盛んであることは人の知るところである。

さもあらばあれかく理論上の要求としては出来るだけ選挙権を広く与うべしというに拘らず、実際上種々の制限を設けて居るもの近世各国中甚だ尠くはない。その理由にはいろいろあるが、その主なるものを挙げると次の二つがあると思う。

第一はたとえ青年男子のみを取るも、その中にはなお多数の権利行使に適せざるものがある。即ち選挙という公権を実行する程智見の熟せざるもの尠くないというところから、制限制度を是認せんとするものである。しかしながらこの説が非常に教育の程度の低い国においては適用あるかも知れぬが、今日の開明国にはもはや通用しない論である。その上今日の立憲政治は、人民に非常に高い見識を要求するものではない。この事は已に先にも詳しく述べたのである。今仮りに一歩を譲って論者の説に一応の理ありとしても、権利行使に適するものと否とを何によって区別するか。この点が甚だ明白正確でない。今日現に不適者淘汰の標準として採用せられて居るものは、教育上の制限と財産上の制限と二つである。