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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

ただ普魯西が今なお六十余年前の旧法を墨守して三級制度、間接主義を革めざるを最も著しい例外とすべきである。もっともこれには実は相当の理由がある。煩わしければ今は述べぬ。かくて世界の文明国はほとんど皆大体普通選挙制を採用してしまったと見てよい。故に今日東西の文明国中、比較的重き制限を付するものとしては、僅かに露西亜と我が日本とを算うべきである。他の一般文明国においては、普通選挙制を採用すべきや否やは、業に過去の問題にして、今日の政論には上らない。我が国においても近時だんだん選挙権拡張論は盛んになって来たが、しかし普通選挙論の流行を見るまでには未だ大部時が掛るようだ。先般大隈内閣が十円の制限を低下して五円となすという姑息の案を提唱した時ですら、一部の政界に激しき反対があった位であるから、普通選挙の実現を見るはいつの日にあるか、前途遼遠の感なきを得ない。我が国の多数の識者の間には実に不思議な程普通選挙制度に対する誤解と反感とが激しい。もっともこの制度は初めは主として社会主義者の一派によって唱えられたのであった。これがたまたま誤解を招く所以となったのであろう。