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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
洪牙利といえども六分五厘を超え、我が国の二倍以上である。こういう風に選挙権を制限して居れば、前に述べたように、主客顛倒の弊に陥るの危険あるはもちろんの事、選挙権は国民の公権なりという実が挙らない。少なくとも国民の心頭に、国民の神聖なる権利として選挙を苟且にすべからざるの念慮を起さしむることが出来ない。小学校や中学校の教師に、立憲思想の養成に努めよと言ったとて、彼ら自身は無論、彼らの親族故旧に選挙権を有して居る者が少なければ、親身にその権利の尊ぶべき所以を味わう事が出来まい。聞く者もまた同様である。自分の父兄、自分の親族やが洽ねくこれを有って居ればこそ、話を聞いても親しみがある。そうでなければ、選挙の話を聞いても自分とは風馬牛相関せざる閑談として受取るの外はない。
かくの如く選挙権の拡張は、取締法の厳重なる励行と共に、我が国において焦眉の急務とするところである。これを諸国の歴史に見ても、選挙界の廓清は多くこの二事によって成し遂げられた。この二事を疎かにしては、いかに選挙道徳を鼓吹して民間の良心を鞭撻しても、憲政の理想はこれを実現するに由なきものである。