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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

弾劾は即ち下院原告となり、上院これを裁判して、その結果下院の見るところを是なりとすれば内閣は更迭せねばならぬという制度である。しかしてこの場合君主は更に他の功臣を以て内閣を組織せしむるが、彼は本来議会に何らの基礎を有せざるが故に、再び弾劾せらるるを免れんがためには自ら議会の意思を尊重せざるを得ない事になる。従って議会の意嚮は間接ではあるが政府を通じて行われ得ることになる。こういう意味で弾劾の制度も憲政運用の一便法として認められておったのである。しかるにその後段々に政党内閣の制度が流行するようになってからはこの制度の実用がなくなった。どうせ議会の意思を重んぜなければならぬものであるならば、議会に多数を占むる政党の領袖をそのまま挙げて政府に入れた方が捷径である。議会に関係なき官僚が政府を組織するのでは何日何時議会の弾劾を受くるか判らぬ。随って政府の恒久性を失うの不便がある。そこで政党内閣が段々に流行するようになったのである。こうなって見るとこの方が弾劾の制よりも一層よく責任内閣の意義を徹底せしむるを得るので、今日では独りこの方法のみが流行するようになった。