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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
今日こんな事が問題となって居る処ありとすれば、これたまたま憲政の発達頗る後れて居るを示すものである。ただ例外としてこの種の問題は露西亜と独逸とにおいて唱えられて居るのみである。露西亜にこの問題のあるのは、同国が欧羅巴における最後の立憲国として、日露戦争後民間の要求に迫られて厭やいやながら頗る専制的なる憲法を発布したという事情に徴して明白であろう。独逸帝国に至っては立国の事情から行政権の絶対的独立を主張するの必要があってしかるものである。独逸は元来は普魯西の武力を以て起り、また現に普魯西の武力を以て統一を維持するところの国柄である。内部において普魯西に反感を有って居る諸邦少なからざるのみならず、また所在に歴史的理由によりて独逸政府の強大を喜ばざるもの、例えばアルサス・ローレン人、波蘭人、シュレシウィッヒュ・ホルスタイン人、ハノーヴァー人の如きがある。その外少なからざる勢力を占むる天主教徒と社会主義者とはまた熱心に普魯西を中心としての独逸国力の発展膨脹を快とせない。しかしてこれらの本来不統一なる諸要素を纏めて強大なる一国家を作るには、行政権によほど絶大なる権力を与うる事が必要である、のみならず、なお行政権に永続性を持たしめねばならぬ。