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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
即ち同一年間に前後二回不信任の投票をしたのである。独逸の宰相はかくてもカイゼルの御信任を口実として依然その職に留まるや否や、世間は非常の興味を以てこれを見たのであったが、ビートマン・ホルウェッグは議会の不信任に屈してその職を退くような事は断然しないという態度を固執して、ここに初めて独逸の超然主義は明白に決定された。かくの如くして、独逸は今日独り例外として超然主義を執って居る。けれどもこれは超然主義を可とするの理論上の確信に基づいたと見るべきものではなくして、実は独逸立国の特別なる事情に基づく已むを得ざるに出でたものである。さればかくの如き特別の事情のない諸国においては、今日一として超然主義を執るものはないのである。
この点について我が国の状況は如何というに、予の見るところでは大体適当なる進路を取って居ると思う。責任内閣の制度が十分に貫かれて居るとはいえないにしても、今日議会の不信任投票は必ず内閣の総辞職を結果せねばならぬという確信は凡ての人に懐かれて居るようだ。さればこそ不信任投票のいよいよ行われんとするを見るや、政府は常に事前に議会を解散するという例になって居る。