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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
この点からいえば、実際の案としては濠洲主義の方がむしろ無難であろうかと考える。
以上説くところに由って観ても、憲政運用上西洋の諸先進国がいかに民選議院を重んずるかを知ることが出来る。これ畢竟憲政の本義は民本主義に在り、しかして民本主義の徹底的実現は、前述べた各種の改革を前提として、結局下院をして政治的中心勢力たらしむるに在るからである。かくて諸国の識者はいかにかして下院に与うるに、制度上また事実上、上院や政府に対する優越的地位を以てせんとして非常に苦心して居るのである。今や我が国においては、責任内閣の意義漸を以て明白となりつつあり、これ甚だ喜ぶべしといえども、民衆勢力の直接の代表たる下院の威望甚だ重からざるは、頗るこれを遺憾とせざるを得ない。これけだし一つには下院を構成する議員その人の識見品格未だ備わらざるが故である。制度の上でいかに下院を重んず可しといっても、事実上凡庸薄徳の鈍物のみが集まるのでは、天下の威望は決してこれに帰せないのである。人才これに集まらざるが故に、上院に対しても勢威を欠き、政府を組織せんとするに当っても、少なくとも首相はこれを外部に求めねばならぬという不体裁を演ずる。