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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

との理論上の主張である。されば我が国の如き一天万乗の陛下を国権の総攬者として戴く国家においては、全然通用せぬ考えである。しかしかくいえばとて、民主主義を云々することが、直ちに君主制の国家に在っては危険なる、排斥せねばならぬ主張であると、一概にいうことも出来ない。何故なれば、この主義にも細かく観れば二つの種類があって、その一方はなるほど国体擁護の立場からこれを排斥せねばならぬものであるけれども、他の一方は必ずしもこれを危険視するの必要はないものであるからである。しからば民主主義の二つの種類とはいかなるものをいうか。

第一に民主主義は、凡そ国家という団体にあっては、その主権の本来当然の持主は人民一般ならざる可からずという形において唱えられることがある。これを予は絶対的または哲学的民主主義と名づけたい。これは抽象的に国家の本質を考え、その権力の所在は理論上必ず人民でなければならぬと説くのだから、この立場からいえば、共和国が唯一の正当なる国家であって、君主国の如きは不合理なる虚偽の国家である。君主は人民より不当に権力を奪ったものであるという結論に達せざるを得ない。