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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

いわんや、国際競争の激烈なる今日、国民の自覚自開によって国家の内面的勢力を充実するの極めて必要なる今日に在っては、これら先覚者の指導によって国民の自奮を促すこと実に焦眉の急に属する。鎖国時代ならば、日本には日本の特色があるとか、支那には支那の特色があるとかいって、世界と没交渉に各々独自の方向を歩んでおってもよかったろう。しかし今日の時勢は、断じてこれを許さない。我々は今や世界と共に進歩し、世界と共に同じ途を競争せねばならぬ運命に置かれてある。

感情論に基づく誤解の外、なお相当の理論的根拠に基づいて、あるいは少なくとも相当の理論的根拠に基づくの外観を呈して、民本主義を難ずるの議論がある。その一つは民本主義と民主主義とを混合し、少なくともその間の区別を明白に認識せずして、これを以て恰も主権在君の大義に悖る説なるが如く考うるものである。従来の用語例では、ただ一つの民主主義という言葉を以て二つの異なれる観念を言い表わしておったのであるから、従ってこの種の誤解を抱くものの在ったのも無理はない。しかしこの考えの誤りなる事は前に述べたところでも明らかであるから、ここに再びこれを論弁せぬ。