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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

しかるにこの点は今日各国において十分に貫徹せられて居るかというに、必ずしもそうではない。その理由の一つは、やはり封建時代に多年養われたる思想と因襲とが、民本主義の明白に承認せられたる今日、なお種々の形において制度の上に残存し、「人民のため」という趣意の十分なる貫徹を妨げて居るからである。この傾向は西洋でも、立憲政治が上下両階級の衝突並びにその妥協の結果として発達した国に多い。しかしてこの民主主義の徹底的発現を妨げて居る最も主たる原因は、旧時代の遺物たるいわゆる特権階級の存在である。特権階級が法律上与えられたる特権を、適当に利用するに止まるならば、大した弊害もないといえるけれども、彼らはとかくこの特権を楯として、漫りに民権の発達に反抗する。彼らは過去においては法律上特権を有っておったがために、更に政治上にも特殊の地位を得、従って独り政権に参与するの特典を有しておった。しかして彼らはこれらの特別なる地位を永久に壟断せんがために、動もすると人民一般の利福と衝突し、「人民のため」の政治に逆うの傾向を示す。元来特権階級の存在そのものは、国家にとって決して無用の現象ではない。