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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
ただその制限の種類が同じくない。一つは多数に相談して極めるという形に在り、他は少数に相談して極めるという形にある。しからばここに君主は果たしてそのいずれの制限を採るべきものであるかの問題が起る。少数の人のみに相談すべきであるか。多数の人に普ねく相談すべきであるか。かく論ずれば、君主大権の制限なるが故に非なりという理由で、民本主義を排斥するのは正当でない。もし民本主義を有効に排斥せんと欲するならば、更に一歩を進めて、多数の人に諮るのが常に悪く、少数の人に諮るのが必ず善いという趣旨を明白に証明するの必要がある。しかるに我が国においては、明治初年以来多数の人に諮るを以て立国の国是なりとして居る。明治天皇陛下は維新の初め現に広く会議を起し万機公論に決すべしと勅せられて居る。即ち多数の人に相談して公平にして且つ正当な政治を行うという民本主義の精神は、明治初年以来我が国の国是であった。今頃これを否認して少数諮詢主義を唱うるのは、政界進化の大勢に逆行するものである。
第二の批難は、凡そ人民一般は本来愚なものであって自ら自家の利福の何たるを知らぬ、これを熟知する者はむしろ少数の賢者である。