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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

しかしこれは民本主義を否認するか、少なくともその当然の適用を枉ぐるものであるから今ここに問題とする限りではない。ここに問題となるのは、初めから民本主義を承認し、これに極端に忠実ならんとするの口実の下に代議政治の無用を説くの説である。即ち代議政治は民本主義の理想に合致しない。従来は外に仕方がないから我慢をしておったけれども、その弊の甚だしき、もはや今日は我慢が出来ぬという立場から、遂に代議政治は民本主義の要求に応うるの外貌の許に、実は民本主義に敵するものなりとなし、真に民本主義に忠ならんと欲する者は須らく代議政治を真向に否認せざるべからずと論ずるに至ったのである。この議論の明白なる代表者は、近時仏国に起って伊太利、英吉利、亜米利加等に段々蔓衍して居るサンジカリズムの議論である。彼らは曰く、選挙という段階は、多くの場合において、選挙人と被選人との意思的支配関係を紛更し、民衆一般の意思の正当なる代表は議会において曲げらるることを常とする。故に議会制度は、民衆の意思をして政治上における終局の権威者たらしめんとするの本来の理想を決して完全に実現するものではないと。