轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

われにそむく

我に叛く

宮本 百合子

「太陽」1921(大正10)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,414 字 · 59 页

青空文庫

彼に手伝い、相当な受け答えはしながら、ゆき子は、心だけが傍へ出て、淋しく凝っと自分等を見守っているような心持がした。

差し向いの夕飯後、彼等は散歩がてら、小さい土産物を持って、×町へ行った。そして、十一時頃、低く寝鎮った街なかを、睦しそうに肩を並べて帰って来た。

併し。――

翌日、遅めな朝飯が済むと、日向で新聞を見ている真木に、ゆき子は、

「今日はおいそがしいの?」

と訊ねた。

「僕? そんなにいそがしいことはない――何故?」

「じゃあ緩(ゆっ)くり話していらっしゃれて?」

「さあ……」真木は、がさがさと大きな新聞を畳みなおした。

「緩くり話すって――もうそんなに休もないからね、今日は一つ×県へ礼を出したり、あっちこっちの返事や何かを書かなくちゃあ……」

「――家にはいらっしゃって?」

「いますとも! 用がなかったらこっちに来ていればいい」

真木は、やがて、明るく日の差し込む机の前に坐を構えて、徐ろに紙や封筒を揃え始めた。それを見て、ゆき子も立ち上った。そして裏合わせになっている自分の部屋に入って、静かに境の襖を閉めた。そこは、北向の三畳間であった。表座敷のように陽気な庭や、晴々した遠くの眺望は欠けている。