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われにそむく

我に叛く

宮本 百合子

「太陽」1921(大正10)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,414 字 · 59 页

青空文庫

従って、彼女が言葉から、素振りから、ゆき子に与える暗示が如何なるものだかは、ほぼ想像し得るものであろう。

この関係を、他の一面から見ると、そこには明に、真木に対する不信任が認められずにはいない。

率直にいってしまえば、寿賀子にとって、ゆき子と真木の可愛さなどは、到底比較にもならないものである。ゆき子が、良人として真木を信ずるだけ、どうしても寿賀子にはその男が信頼されない。――真木は、彼女が自らの選択で、ゆき子のために見出してやった「婿」ではなかった。――彼等は自由に互に愛し合い、全く相互の意志だけで結婚したのであった。

こんな、感情の暗流は、当然真木に、一種の暗い直覚を与えていた。不愉快などという単純な言葉の約束以上の感じが、寿賀子と真木との間には潜在していたのである。

ゆき子は、決してそれを知らないではなかった。

が、今、あらわに、不同意の色を示されると、彼女は、それをそのままには肯いかねた。それほど「×町へ行ったらばこそ!」という希望は彼女にとって清新な輝かしいものだったのである。

ゆき子は、暫く黙って、良人が考をまとめるのを待った。後、

「いけなくって?」