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せんそうはぼくをおとなにした
戦争はぼくをおとなにした
小川 未明
「童話」1947(昭和22)年2、3月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,627 字 · 11 页
やはり、町から郊外へのがれる、人々の群れとまじって、逃げたのでした。
「もう、ここまでくれば、だいじょうぶだ。」
小高い丘のようなところへたどりつくと、みんなは、こういって休みました。
一方では、火のむちで打たれて、狂うように、烈しい風が、暗く、青ざめた、夜の空を苦しそうな叫びをあげて、吹いていました。風は、すこしの間、一息いれると、その後は、かえって、すさまじい勢力をあらわしました。そのたびに、たんぼのむぎや、まわりにしげる木立の枝が、いまにもちぎれて、闇の中へさらわれそうにみもだえしたのです。焼けくずれる町では、花火のごとく、火の粉が高く舞い上がり、ぴかりぴかりとして、凱歌を上げるごとく、ほこらしげにおどっていました。
人々は、あちらの木の下に、一かたまり、こちらのやぶ蔭に、一かたまり、いずれも押しだまって、ただ目だけを、赤く焼ける町の方へ向けて、おそろしいありさまを見守っていました。そのうちひとりが、ちがったところを指すと、みんなが、その方を向きました。へびの舌のように、紅い炎が、ちろちろと、黒い建物の間から、上がりはじめたばかりです。
と思ううち、見る見るすそをひろげて、一方の火と合し、たちまち、あたりは火の海となってしまいました。