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せんそうはぼくをおとなにした
戦争はぼくをおとなにした
小川 未明
「童話」1947(昭和22)年2、3月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,627 字 · 11 页
「もう、さっきから、どれほど焼けたろう。」
「さぞ、人がたくさん死んだろうな。」
こんな話し声がきこえました。清吉は、いくらがまんしても、からだがふるえて、ぞくぞく寒けがしました。かれは、こんないくじのないことでどうしようと、自分をはげましました。
「おかあさん、あっちの空をごらん。」と、とつぜん、気を転じようと、清吉は、さけびました。
「どうしたの。」と、母は、ききました。
「あそこに、星が出ているよ。」
そこだけが、いつもの静かな夜の景色と、変わりがなかったからです。そこだけを見るなら、地上で、いま、町が焼け、人が死んでいるということが、信じられない気がしました。
そして、このすさまじいあらしにも、猛り狂う炎にも、無関心でいられる星の世界が、あまりにも、ふしぎにみえたのです。色とりどりの星が、たがいに仲よくして、たのしいことでもあるのか、ささやき合うような、また、おどけて、まばたきをしたり、目と目でものをいったりしているようなのが、なんとなく、うらやましかったのでした。自分たちも、星の都へいったら、おとうさんは、戦争にいかなくてもよかったし、いつもみんなが、いっしょに楽しく暮らすことができたであろうにと思いました。