轻松读懂日语经典作品
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げさくしゃ
戯作者
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年4月1日春季特別号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,218 字 · 21 页
無駄な時間を費やさぬがよい」
「御教訓忝のう存じます」
馬琴は礼を云って引き退ったが、心中多少不満であった。極意についての解釈も、解ったようで解らなかった。従って「八犬伝」の続稿も、書き進むことが出来なかった。憂鬱の日が続いたのである。
しかし間もなく意外な事件が馬琴の身上に降って湧いた。そうしてそれが馬琴の心を、ガラリ一変させたものである。
ある夜、馬琴はただ一人、柳原の土手を歩いていた。
と、一人の若侍が、暗い柳の立木の陰から、つと姿を現わしたが宗十郎頭巾で顔を包み黒紋付を着流している。
馬琴は気味悪く思いながらも、引き返すことも出来なかったので、往来の端を足音を忍ばせ、しとしとと先へ歩いて行った。すると、ひそかに心配していた通り、覆面の武士が近寄って来た。スルリ双方擦れ違った途端、キラリと剣光が閃いた。
「抜いたな」と馬琴は感付いたが、却も走りもしなかった。かえって彼は立ち止まったのである。それから静かに刀を抜くと、それを下段に付けたまま悠然と体の方向を変え、グルリ背後へ振り向いて辻斬の武士と向かい合った。
「うむ、ここだな、無念無想!」
馬琴は心で呟くと、故意と相手の姿は見ずに自分の足許へ眼を注けた。