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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

技術という観念は何と有効な解熱剤ではないか。

だがもし之で事が済むならば、技術というものは高々、現在の危機を観念的に消去する文学的手段として重宝がられるまでであって、別に技術それ自身が問題にならねばならぬという理由は恐らくないだろう。併し、金融ブルジョア・イデオローグの文明批評の手品とは関係なく、技術という観念と及びそれの困難とが立ち消えになっても、技術そのものとそれの現実的な困難とは決して立ち消えになりはしない。そこで、今度は産業ブルジョアジーの直接の手足である処のブルジョア技術家達が、改めて技術と従って資本主義の危機との問題を取上げる。初め金融ブルジョアジーは終局に於て根柢的な金融恐慌を信じることが出来なかったと全く同様に、この産業ブルジョアジーの下士・技術家達は、一応資本主義下に於ける技術の困難・危機を信じることが出来ない。却って彼等は資本主義の危機を解消する唯一の手段こそは技術であり、この手段を活用することこそが技術家の歴史的使命でさえあると空想する*。――だが技術家の空想の内部に於ける技術の発展とその効果とは、云うまでもなく、資本主義社会に於ける現実の技術の発展とその効果とからは別である。