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ぎじゅつのてつがく
技術の哲学
戸坂 潤
「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页
併しそれにも拘らず大事なことは、社会科学自身は一応、技術と直接な交互関係に立つ当のものでないという点である。技術の発達によって直接に影響を蒙るものはいつも自然科学であり、逆に又自然科学の発達によって直接に影響を受けるものはいつも技術である。
自然科学の最も抽象的な理論も、それが抽象的であればある程、それだけ精巧で精密な実験装置によって制約されている。処が実験の装置法とそれに用いられる素材とは、全くその時の社会の技術水準によって決定されざるを得ない。技術上の条件が具わらない時は、何等の有益な実験も従って又何等の有効な自然科学理論も成り立ち得ない。精密機械の製作工場がなければ、大規模な組織的実験は不可能なのである。――だが逆に実験装置や実験素材の技術的生産は又それ自身、自然科学的実験と理論との工業的応用によってしかあり得ないのである。
そういうわけで、自然科学的並びに又技術的に発達した現代では、科学研究それ自身が一つの大工業の性質をさえ帯びて来なければならず、又逆に近代工業それ自身が、一つの科学研究という形態を採らねばならない、そういう事情が発生して来ている。