轻松读懂日语经典作品
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ぬきうちししべえ
抜打ち獅子兵衛
山本 周五郎
「講談雑誌」大日本雄辯會講談社、1940(昭和15)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,930 字 · 24 页
「たとえ、……たとえお目通りは仕らずとも左内はお姫さまをお護り申上げております、どうぞお心丈夫に、お仕合せにおいであそばせ」
「訳を云っておくれ、そんなことをしたのには訳があるはずです。倫にだけでよいからその仔細を話しておくれ」
「ただ左内の無調法でございました、……お姫さま、御免を蒙ります」
「お待ち、左内……お待ち」
左内は走るように立去った。
――もう生涯に二度と聞けぬお声だ。
走りながら左内はそう思った。わずか三年あまりしか仕えなかったが、誰よりも姫の寵を受け、また誰よりも姫を大切に護立ててきた、……心ひそかには、姫君というより親身の妹……あるいはもっと大事な、じかな愛情さえ懐いていたのである。
――御不運なかた、おいたわしい姫、このかたのためならどんなこともしよう。そう思い続けてきたのである、そしてそれが今日の勘当を受ける原因となったのであった。
「待て!」
叫びながら、行手にばらばらと現われた人影を見て左内はぴたっと足を止めた。……夕闇のなかに二人、近寄りながら刀を抜くのが、鈍色の光を放って見えた。
先に来て待っていたらしい、渡辺角之進と柏木大六、その後に和田玄蕃の顔も見える。