轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんどうま
振動魔
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,354 字 · 34 页
水蒸気と化して中空に消えゆきそうに考えられるのだった。ああ僕は、あだしごとを述べるについて思わず熱心でありすぎたようだ。
このような楚々たる麗人を、妻と呼んで、来る日来る夜を紅閨に擁することの許された吾が友人柿丘秋郎こそは、世の中で一番不足のない果報者中の果報者だと云わなければならないのだった。若し僕が、仮りに柿丘秋郎の地位を与えられていたとしたら――おお、そう妄想したばっかりでも、なんという甘い刺戟に誘われることか――僕は呉子さんのために、エジプト風の宮殿を建て、珠玉を鏤めた翡翠色の王座に招じ、若し男性用の貞操帯というものがあったなら、僕は自らそれを締めてその鍵を、呉子女王の胸に懸け、常は淡紅色の垂幕を距てて遙かに三拝九拝し、奴隷の如くに仕えることも決して厭わないであろう。しかしながら友人柿丘秋郎の場合にあっては、なんというその身識らずの貪慾者であろう。彼は、もう一人の牝豚夫人という痴れものと、切るに切られぬ醜関係を生じてしまったのだった。
その牝豚夫人は、白石雪子と云って、柿丘よりも二つ歳上の三十七歳だった。だが、その外貌に、それと肯く分別臭さはあっても、凡そ彼女の肉体の上には、どこにもそのように多い数字に相応わしいところが見当らなかったのだった。