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たんていのまき

探偵の巻

坂口 安吾

「都新聞 第一八三四二~一八三四四」1938(昭和13)年11月24~26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,368 字 · 9 页

青空文庫

どこそこでおききやしたら、など二人の不良少女殊勝げに嘘八百の忠言までまくしたてて颯爽と帰つたあとには、二人の探偵腕を組んで顔見合せ、お互に三町離れて眺めたやうに小さく縮んで見える姿に悲嘆にくれ、酒だ酒だと、その晩はまんまと不良少女の肴になり終つて、やけ酒に酔ひつぶれた次第であつた。

俄探偵の口ほどもない無能ぶりに呆れ果てたのが食堂の親爺夫婦で、こつちが鴨になる有様だから、口説くどころの話ぢやない。これは飛んだ罪なことを致しました、と安心して、四日目からは監視もつけなくなるといふ軽蔑ぶりであつた。

三宅君世の無常を歎じて、京都の不良少女は二流でさあ。人間の心意気といふものが分らねえ、なぞ負け惜みを言つたが、意気揚がらざること夥しく、専らやけ酒を飲みたがるのも、亦惨たる姿であつた。

(三)

数日前、河原町四条の洋品店のショップガールから電話があつてお宅の娘さんが金借に来たが、様子が変だから、二時間後に又来ておくれやすと一応帰したからといふ知らせであつた。それといふので、食堂の親爺が張込みにでかけ、漸く娘を連れて帰つた。

この娘、家へ戻つてから頑として口を開かぬ。