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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

しかし、これらの銀行はまだまだ生きて音も立てずにその活動をつづけている。

ロータリーのあたりから、旧い村町が蒙った変化を観れば、空襲でこの大工廠が跡かたもなく破壊されたことなどは、むしろ、かえって整理の方向への第一段のようにさえ思われた。人々の生活の安定は、とっくにその前に壊されていた。抵抗しがたい暴力がのたうちまわり、住民の生活をはねとばし、直線の大道路をひきまわし、しかも何一つとして完成させないで、突然その狂暴な力は虚脱した。みるすべての人々を絶望させる子供だましの壮大さと、虚勢の尻切れとんぼとがあった。無意味なものとなり、空虚なさびしさを示すばかりのアスファルト二十間道路。ひっくりかえって起すもののないプラタナス並木の青葉。やたらに建物ばかり大きく建ててみたが、全部つかい切れないでその一階で不活溌に執務している郵便局。

ここにおびただしい人間が集められ、生きていた。しかし、生活らしい生活は無かった。五月頃から

ニッポンよい国 花の国

七月八月 灰の国

九月十月 よその国

そういううたが、街上でうたわれた。一台のバスにきっと憲兵が一人はのってはしりまわっている。