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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

半丁ほど先に、トラックを待っている長いひろがった列があった。

「ここまでなんか」

意外そうに支店長がきいた。

「あこからトラックが出る」

「そうか、なるほどね、これが『三里』だったか」

実際に歩いたのは一里あるかなしの距離であった。しかし、ひろ子にとっては、それが半里だろうと、三里だろうと、もうそれより先は歩かないでいい、というのがありがたかった。

「さあ、もうこんどのったら明石までバタバタせんでええのやから楽です」

ここでトラックを待っている列は、妙な列で、一つもしまりがなかった。七人も八人も一列に押し並んでいるところがあるかと思うと、三四人パラパラと荷物の上にしゃがんで梨をかじったりしている。数台のトラックが真面目に往復しなければ、さばけそうもない人数であった。だが、人々は道端にもう一時間以上、そうやって只待っているのであった。

時々、むこうから復員兵を満載した大型トラックが疾走して来た。ぎっしりつまって四角く突立ってのっている若い兵士たちは、道ばたにだらしなく動くあてのない列をつくって待っているひろ子らの群とすれちがうとき、ワーと賑やかに声をあげ、通過して行った。