轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

もし手紙が浅田の偽筆だったり、又は強制されて書いたものだったりしたら、この二度目の手紙で真相が分るかも知れないのだ。それにしても両国の坂本公園を態と読み違えた風をして坂本と云う人は知らないなどと、空々しい事を書いて来るとは何と奸智に長けた奴だろう。

渡辺刑事は目頭が熱くなる程憤慨した。

が、ふと気がつくと彼は愕然とした。これ程の奴だから、こう云う断りの手紙を出して置いて、そっと坂本公園の様子を見に来るかも知れない。彼自身来ないまでも誰かに頼んで公園の様子を探るかも知れない。もし彼に公園の物々しい警戒を鳥渡でも悟られたら一大事である。彼はもう二度と浅田の手紙を信用しないであろう。そうなるといつ彼が捕えられるか見当がつかぬ事になる。一時も早く公園の警戒を解かねばならぬ。渡辺刑事はいら/\した。けれども彼自身が迂闊に出かける訳に行かない。留守に又浅田がどんな手段を取るやら分らぬ。あゝ、どうしたら好いだろう。約束の十時は刻々に近づいて来る。

折柄表の戸がガラリと開いた。渡辺刑事はホッと安心の息をついた。這入って来たのは思いもかけぬ石子刑事だった。

「よく来て呉れた」