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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

私はそれは困る、自分の寝ている時にでも自殺して知らないのなら格別、自分の面前で自殺を企てられて黙っている訳に行かないと答えまして其場はすみました。所が其後も再三その事を申しまして、十日頃でしたか、どうか後の事を引受けて呉れと頼みますので、そんな事をして此上罪が増えては大変だからと断りますと、支倉は自分には一万円とか二万円とか財産があるから、其四分の一を上げるから承知して呉れと申しまして、多分筆記場で書いたのだと存じますが、遺言状と委任状を書いて私に寄越しました。それを十五日の朝看守に発見せられたのです。

支倉は口癖のように窃盗は実際やったのだが、放火殺人は少しも覚えのない事だ。警察署長に瞞されたのだ。口惜しいと申して居りました。同人は絶えず煩悶しているようで、何かと云うと直ぐに死ぬと云いますので同監いたして居りまして薄気味が悪くてなりませんでした。然し口では死ぬ/\と申していますものゝ、実際やる積もりだかどうだか分りませんでした。どっちかと云うと信用出来ないと思って居りました」

この自殺を企てた事については支倉は先に上願書のうちに申訳ありませんと詫っていた事は書いたが、その後に尚次のような文句があるのだ。