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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
「その際の遺言状一通、委任状一通何れも根も葉もなきことにて、被告は悪き事とは知りながら、兎角囚人なる者は欲深きものでありますれば、被告は先方に花を持たせ自己の目的を達せんとしたのであります。今になり考えますれば誠にすみません申訳ありません」
さて、五月三十日に古我判事の待ちに待っていた市電気局からの回答が来た。
本月二十八日付支倉喜平刑事事件審理上必要の趣を以て御照会に相成候電車開通日時左記の通りに有之候此段及御回答候也
大正六年五月三十日東京市電気局
東京地方裁判所予審判事 古我 清殿
(左記)
自四の橋至一の橋 明治四十一年十二月二十九日開通
自一ノ橋至赤羽橋 明治四十二年六月二十二日開通
自古川橋至目黒停車場前 大正二年九月十八日開通
備考 所在明示の為め別紙電車運転系統図を添付す
以上
之が古我判事の手許に届いた電気局回答の全文だった。之で見ると電気局でも余程大事件だと思ったと見え、殆ど即日と云って好い位に迅速に調査をなし、尚電車運転系統図まで添えている。裁判所からの照会は支倉の第三回訊問後彼の自殺を企てようとした事件の為参考人銀之助を取調べた直後出したものらしい。