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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
ではとりつく島もない。
十一月に這入ると、先に下命した鑑定の結果が続々判明して来た。鑑定書はいずれも微に入り細を穿ち、頗る浩瀚なものであるが、こゝには結論を挙げるだけに止めて置こう。布地に関する鑑定は次の如くである。
鑑定
別封第一 片側は濃き納戸地に茶色の模様ある友禅モスリン地片側は黒色の毛繻子地よりなる昼夜女帯の一部
別封第二 別封第一の濃き納戸地に茶色の模様ある友禅モスリン地と等しきものなり
別封第三 肉色又は白茶色の地合に赤若しくは金茶色の花様の模様ある友禅モスリン地
別封第四 桃色地に赤色の模様ある友禅モスリン地よりなる縫紐の一部
別封第五 別封第三の布地と等しきものなり
別封第六 モスリン地及黒色毛繻子の緯糸並に鋏
大正六年十一月七日
以上は高工教授佐藤氏の鑑定で、田辺裁縫女学校長の分は次の通りである。
鑑定
以上詳記せる如くにして、之を要するに黒色繻子に藍鼠鹿子形捺染メリンスの腹合帯にて幅九寸内外長さ八、九尺にして、片側は全部黒毛繻子、片側は黒毛繻子を折返し、不足分に接ぎ合せたるメリンスを縫いつけたるものにして、之を黒毛繻子を内側に二つ折にして締め居りたるものと推定す。