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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

この時に能勢弁護人は「小林貞と称せられる者の遺骨を埋めた墳墓」の実地検証と遺骨の胴体の鑑定を申請した。彼の考えは神楽坂署で発掘に向った時には最初飛んでもない間違った死体を持返っているから、その間何か被告に有利な弁護の材料はありはしないかと睨んだのである。

裁判長は直に之を許可し、胴体は再び友長医学士に依って鑑定せられる事になった。

が、鑑定の結果は四尺二寸より低からざる年齢十六乃至二十歳の女性の正常骨格である事が判明して、先に持返った頭蓋骨の胴体である事が明かになった。

二月十六日、五月六日、六月十日、同二十五日、同二十六日と続行裁判を重ね、続々として証人の喚問被告の訊問が行われて、検事と弁護士の間に論告があった後、愈※(二の字点、1-2-22)七月九日に判決が下される事になった。

そうして下された判決は冷たい「死刑」であった。

三本の手紙

真夏の午後、日ざしは少し斜になったとは云いながら、焼けつくような太陽は埃りぽい庭にギラ/\と眩しい光を投げつけていた。神戸牧師は端然と書斎の机の前に坐りながら、書見に倦み疲れた頭をぼんやりと休めていた。