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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
真に冤枉者として見れば彼の心事憐れむべきも、事実罪あるものとすると、何と虫の好い保釈願ではないか。
もとよりこんな虫の好い保釈願が聞き届けられる訳はない。
忽ち不許可となった。
支倉は少しも屈しない。大正十二年も押詰った十二月十七日又々保釈願を出した。之は大分書き振りが不穏になっている。
「一、庄司利喜太郎は喜平を長の間神楽坂署に留置き、そして長の間喜平をアラユル拷問に合せ、条件を持出し義兄弟になって」と云う書き出しで、例の書類の隠匿の事を相変らずクド/\と書き立てた保釈願を出した。翌日不許可になると、再び同文の、而も筆の運びから字配り、行割りから字と字の間まで寸分違わぬ、よくもかくまで同一に書けたものだと思われる願書を即日提出した。不許可になると又出す。とう/\暮の押し詰まった二十八日迄に四回矢継早に提出した。而もそれには極って細字に認めた参考書類がついている。それが又一言一句を違えず、文字通り判で押したように、そっくり同じである。根気の好いのには驚かざるを得ない。参考書類と云うのは、支倉が庄司氏の身許につき金沢市長に宛てた、頗る悪意のある愚劣極まるものである。