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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

引用する事は関係者を不快にさせるかも知れないが、こゝに一部を書抜いて、支倉がいかに庄司氏に対し悪辣を極めたかを証明する事にしよう。

之は原文は細字で葉書に認めたものらしい、大正十一年頃の発信で、署名は相変らず東京未決監未決六年冤枉者支倉喜平、宛名は金沢市役所市長殿である。

前半には例の書類隠匿事件も詳細に書き、後半には、

「君(支倉を指す)は公判から出たらわし(庄司氏を指す)の兄のカナイの父親は、只今金沢新地で南楼と橘平楼を名乗って芸妓屋と女郎屋をやっている、其処へ伴れて行って芸者を皆引っ張り出してウムと御馳走した上、わしア、オショクを抱きたいんだが、君ア犯さないのを一時犯したとして一時わし共を助けて呉れる事なんだから、そこで君にその御礼として、オショクを譲り、わしア第二の別嬪として、佐藤(警部補)にゃ第三の別嬪を云々、私ア南楼、橘平楼に係る詳細を庄司利喜太郎から聞かされ相約束しとります。其関係上前便封書にて、該家に係る戸籍謄本申請至急御下附を願う。先ずは取急ぎ葉書にて欠礼右御願い迄、以上――」

何と馬鹿げた手紙ではないか。無論支倉の目的は戸籍謄本を取るのにあって、少しでも庄司氏に引っかゝりがあれば例の凄い脅迫状を送って、嫌がらせを試みようと云うのだ。