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しなまいのふくろ

支那米の袋

夢野 久作

「新青年」1929(昭和4)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,357 字 · 50 页

青空文庫

しかしなア……おやじがうまくウンと云えあ良いが……」

「それあ大丈夫よ。それ位の智恵なら俺だって持っている。つまり時間が来るまでは、他の話で釣っといて、艦の中を見まわらせねえようにしとくんだ。そうしてイヨイヨ動き出してから談判を始めせえすれあ、十が十までこっちのもんじゃねえか。……まさか引っ返す訳にも行くめえしさ」

「ウーム。ナアルホド。下手を間誤付けあ、良い恥晒しになるってえ訳だな」

「ウン……それにおやじだって万更じゃねえんだかんナ……ヤングはそこを睨んでいるんだよ」

「アハハハハ違えねえ。豪えもんだなヤングって奴は……」

「アハハハハハハハ」

「イヒヒヒヒヒヒヒ」

……妾こんな話をきいているうちにハッキリと意味はわからないまま、もうスッカリ大丈夫なような気になって、グーグー睡ってしまったのよ。

ええ……それあ大胆といえば大胆なようなもんよ。だけど、その時の妾はもう大胆にも何にも仕様のない位ヘトヘトに疲れていたんですもの。最前からオブラーコで飲んだお酒の酔いと、今まで苦しいのを我慢していた疲労が一時に出ちゃって、いつ軍艦が出帆の笛を吹いたか知らないまんまに睡っていたわ。