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しなまいのふくろ
支那米の袋
夢野 久作
「新青年」1929(昭和4)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,357 字 · 50 页
だけど、そうして眼が醒めてからの苦しくて情なかった事……軍艦の器械のゴットンゴットンという響きが身体に伝わるたんびに、毛布ごしに床板に押しつけられている背中と、腰骨と、曲ったまんまの膝っ節とが、まるで火が付いたように痛むじゃないの。妾はもう……早くヤングが来てくれればいい。そうしたら水か何か一パイ飲ましてもらわなくちゃ、咽喉がかわいて死ぬかも知れない。そうしてモット大きな袋に入れてもらわなくちゃ……と、そればっかり考えていたわ。そうして人にわからないように少しずつ寝がえりをしかけていると、不意に頭の上で誰かが口を利き出したので、妾は又ハッとして亀の子のように小さくなってしまったの……それは何でも三四人の男の声で、妾のすぐ傍に突立って、先刻から何か話していたらしいの……。
「まだルスキー島はまわらねえかな」
「ナニもう外海よ」
「……ワン。ツー。スリー。フォーア……サアテン。フォテン……おやア……一つ足りねえぞこりゃア……フォテン。フィフテン。シックステン……と……あっ。足下に在りやがった。締めて十七か……ヤレヤレ……」
「……様と一緒なら天国までも……って連中ばかりだ」