轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ほうろう

放浪

織田 作之助

「文學界 第七年第五号」文藝春秋、1940(昭和15)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,399 字 · 47 页

青空文庫

声で吃驚して上って来た女中が土色になった顔を見ると、あわてて医者を呼びに行った。脱腸の悪化で、手術ということになった。十日余り寝た切りで静養して、やっと起き上れるようになった時、はじめて主人が、身寄りの者はないのかと訊ねた。大阪にありますと答えると、大阪までの汽車賃にしろと十円呉れた。押しいただき、出世したらきっと御恩がえしは致しますと、例によって涙を流し、きっとした顔に覚悟の色も見せて、そして、大阪行きの汽車に乗った。

夕方、梅田の駅につきその足で「リリアン」へ行った。女給の顔触れも変っていて、小鈴は居なかった。一人だけ顔馴染みの女が小鈴は別府へ駈落ちしたといった。相手は表具屋の息子で、それ、あんたも知ってるやろ、昆布茶一杯でねばって、その代りチップは三円も呉れてた人や。気がつけば、自分も今は昆布茶一杯注文しているだけだ。一本だけと酒をとり、果物もおごってやって、オイチョカブの北田のことを訊くと、こともあろうに北田は小鈴の後を追うて別府へ行ったらしい。勘定を払って外へ出ると、もう二十銭しかなかった。夜の町をうろうろ歩きまわり、戎橋の梅ヶ枝できつねうどんをたべ、バットを買うと、一銭余った。