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ほうろうさっかのぼうけん

放浪作家の冒険

西尾 正

「探偵春秋 第一巻第三号」春秋社、1936(昭和11)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 页

青空文庫

脱走者に処罰をくわえるのだったら、なにも客のいる時をえらぶ手はない。室内の電気がやけに煌々とかがやいていたことや蒼古なかざりのほどこしてあったのも、写真撮影がほんらいの目的であったと思えばうなずけるし、はたして万年ペンから足がついたのかどうかわからぬが、おれがひっぱられたというのも平常から素行が不良で、おれが日本のポオル・ド・コックだと疑われたわけだ。刑事が蔵書をひっくりかえしたり、本格的なものをかけとからかったのも、あとで考えればうなずける。事実この Pornographie は、“Biblioth※(アキュートアクセント付きE小文字)que des Curieux (collection illustr※(アキュートアクセント付きE小文字)e) Volume 13.”という標題のもとに、あの夜の演技が挿入されて、いちぶの人士間に流布し、おれもふとした機会からながれながれた品物をげんにこの眼でみたことはみたので、この事実にうそはないらしいが、しかし、こんなたかのしれた犯罪の口ふさぎのためにおれを河をこえてまでつけてきて、ドスをぬいてきりかかってきたというのはいささか大仰ではないかと、なにかまだ腑におちないおりのようなおもくるしい懸念をいだいているうちに、翌々日の新聞が、こんどはまえよりもいくらか大きな