轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 页
みんな嘘っぱちばかりの世界だ!
甲州行きの終列車が頭の上を突きさした
百貨店の屋上のように寥々とした
全生活を振り捨てゝ私は
木賃宿の蒲団に静脈を延ばした
列車にフンサイされた死骸を
私は他人のように抱きしめて
真夜中煤けた障子をいっぱい明けると
こんなところにも月がおどけていた。
みんなさよなら
私は歪んだサイコロになって逆もどり
こゝは木賃宿街の屋根裏
私は堆積された信念をつかんで
ビョウ ビョウと風に吹かれていた。
夜中になっても人がドタドタ出はいりしている。
「済みませんが……。」
ガクガクの障子をあけて、銀杏返えしに結った女が、そう言ったきり、薄い私の蒲団にもぐり込んで来た。
ドタドタと大きい足音がすると、帽子もかぶらないうす汚れた男が細めに障子をあけて声をかけた。
「オイ! おきろ!」
女が、一言二言つぶやきながら、廊下へ出ると、パチンと頬を打つ音が続けざまに聞えて、無意味な、汚水のような寞々とした静かさが続いて、女の乱して行った空気が、仲々しずまらなかった。
「今まで何をしていたのだ、原籍は、どこへ行く、年は、両親は……。」
あのうす汚れた男が、鉛筆をなめ乍ら、私の枕元に立っている。