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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 页

青空文庫

激しい飛び散るような、その詩を聞いていると、私一人が飢えるとか飢えないとかの問題が、まるで子供の一文菓子のようにロマンチックで、感傷的で、私は私の食慾を嘲笑したくなった。

正しく盗む事も不道徳ではないと思えた。

帰えって今夜はいゝものを書こう。コオフンしながら、楽しみに夜風のリンリンした町へ出た。

星がラッパを吹いている

突きさしたら血が吹きこぼれそうだ

破れ靴のように捨てられた白いベンチの上に

私はまるで淫売婦のような姿体で

無数の星の冷たさを愛している

朝になれば

あんな空の花は消えてしまうじゃないか

誰でもいゝ!

思想も哲学もけいべつしてしまった

白いベンチの女の上に

臭い接吻でも浴びせてくれ

一つの現実は

しばし飢えを満たしてくれますからね。

家に帰える事が、むしょうに厭になった。

人間の春秋とは、かくまでも佗しいものか! ベンチに下駄をぶらさげたまゝ転がると、星があんまりまともに見えすぎる。

星になった女!

星から生れた女!

頭がはっきりする事は、風が筒抜けで、馬鹿のように悲しくなる。

夜更け。馬に追われた夢を見る。

隣室の××頭痛し。

二月×日

朝から雪混りの雨。