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ぶんかさい

文化祭

坂口 安吾

「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页

青空文庫

もともと信二は自分のお金モウケを考えて文化祭にのりだしたわけではない。行きがかりでこうなったが、村の若い衆にうまい汁を吸わせてみても、自分は別に面白くもない。

しかし、大学生のバンドをよぼうじゃないかと主張しはじめた時からなんとなく狙いはあった。田舎娘を相手にしても一向に心は浮かない。なんとかして意気な都会娘とネンゴロな交際を持ちたいものだと常日頃考えていたのであるが、文化祭を機会にそんな風になりたいものだという狙いはなんとなくあった。そこで女優、ダンサー、歌手、ストリッパー、いろいろギンミしたあげく、自分の好みにも合い、また見込みのありそうなのもアルバイトの女学生芸能家だと見当をつけた。そこで契約に上京した時もバンドよりも女学生歌手のフェースの方に主眼をおいて念入りにギンミしたのである。

その小森ヤツ子がワガママを起しバンドとケンカしておくれてくるというのだから、これはうまいぞと思った。どこがうまいのか信二にもハッキリしないが、何事によらずチャンスというものは何もないところには起らない。何かがあれば、チャンスの見込みもあるから、したがって、うまいのである。