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ぶんかさい

文化祭

坂口 安吾

「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页

青空文庫

モーローとチャンスの訪れを待つことは彼の大いに好むところで、半日や一日は物の数ではない。彼は文化祭の会場である小学校の門前で、モーローと小森ヤツ子の到着を待った。ヤツ子と田沼は一バスおくれて到着した。信二は進みでて、

「どうも遠いところ御苦労さまです。皆さんお待ちかねですから、田沼さんは至急会場へいらして下さい。それから小森さんにはファンの方が昼食にお招きしたいとお待ちになっておりますが」

「ずいぶんおくれちゃいましたけど、昼食の時間あるでしょうか」

「ありますとも。では田沼さん。会場はあちらですから」

有無を云わさずヤツ子をさらわれた田沼はいぶかしそうな顔をして仕方なしに会場へ向った。信二はヤツ子を自宅へ案内した。

「私まだ歌手になって算えるほどしかステージに立たないのですけど、ファンの方って、どんな方?」

「イエ。ボクなんです」

「あら、まア」

「招待をうけていただいて光栄の至りです」

自分でコーヒーをわかしたりして、まめまめしくもてなした。

「あら、大変。もう会場へ行かなくちゃア」

「そうですね。ですが田舎のことですから、ちょッと唄って下さるだけで結構なんですよ。