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ぶんがくにおけるふるいもの・あたらしいもの

文学における古いもの・新しいもの

宮本 百合子

「風雲」について

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,257 字 · 11 页

青空文庫

「風雲」について見る場合、作者の意企が作品に形象化され切らなかったという意味で、どちらかといえば失敗の作となっている。このことは作者自身も恐らく同感であろうと想像する。そして、失敗の原因がこの作品においては、主題と手法との間にある矛盾であると考える時、その問題を、作者の人間的な要素としての階級要因において分析しようとする欲望を感じるのである。

「風雲」において、作者は竹造の過去の身の上に具体的にはふれていない。私の理解し得る狭い範囲でいうことではあるが、この作者がこれまで階級人として実践して来た道を見てもおのずから明らかであるとおり、非常にまめで行動的な、骨おしみをしない性質の人である。彼はその能動性によってインテリゲンチアの生活から勤労階級に移行して来た階級人であり、将来の発展性をもその点にしっかりと持っている作家であると信じて誤りはないと思う。

しかしながら、一方彼にはその出生や成長した環境及び遭遇した青年期における時代的影響もあって、気弱で、情緒的で、部分的にはやや主観に傾くところもなくはない。過去における文学修業の道で「風雲」の作者がある期間室生犀星、芥川龍之介、徳田秋声の芸術に接近したのも、前にいったような作者の一面とのつながりにおいて見れば、それが単なる偶然ではなかったことを私たちは理解するの