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ぶんめいしのきょうくん
文明史の教訓
大隈 重信
「早稻田學報 第百八十七號」早稻田大學校友會、1910(明治43)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,532 字 · 7 页
羅馬の滅亡(とルネッサンス)
同じ文明が永久にその生命を持続してその国の歴史を飾るということは、世界の歴史にほとんど無いところである。何時かはその文明が生命を喪失して、別の新しい文明が取って代る。国家の上からはこれを滅亡という。文明史の上では文明の退歩という。文明の退歩という自然力に対して、人間は全然無力なものであろうか。もしいくらか人間の力が作用し得るものとしたらば、如何なる意味で出来るか。どれだけの程度まで出来るか。これは我輩のいう歴史の功果の表われるところなのである。如何なる人種の消長も、その蔭にはなんらか有力な原因がなければならぬのである。その国の消長した歴史を精細に学ぶことが出来て、而して国民全体が自覚の地位に立つことが出来たならば、多少この大きな自然力に対して防禦的効果がないとも限らぬと思う。しかしそれとて果して充分にこの大勢に対抗し得るか否かは保証が出来ない。
羅馬の滅亡(とルネッサンス)
あの豊かな文明をもっていた羅馬の文明も、東羅馬の滅亡と共に、土耳古人のために滅ぼされてしまった。而して従来は野蛮人の如く思われていた土耳古は新鋭の勢いをもって突進して、而して永い歴史を有する羅馬の爛熟した文明は、多くの学者達と共に伊太利に逃れた。