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ぶんげいじひょう
文芸時評
宮本 百合子
「中外商業新報」1937(昭和12)年7月30日~8月1日、3日、4日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,097 字 · 15 页
或る作家が未熟で、下手で書きそこなった小説というのとは別の、本来作家でない他の何ものかであるものの書きものを、小説として買い、それをジャーナリズムに押しつける佐藤氏の人間的態度は腑に落ち難いのである。時評の中で佐藤氏は、帝国芸術院が年金をきめていないことをあげ、芸術家の経済的窮乏が芸術家と政府とを惧しめる結果になることを惧れているけれども、一個の芸術家が生ける屍として現れるのは、あながち経済的窮乏のみによらないことを教えられるのである。
戦争を描く小説
『日本評論』八月号は戦争小説号として、三篇の戦争を題材とした作品をのせている。「明治元年」林房雄。「戦場」榊山潤。「勝沼戦記」村山知義。
本多顕彰氏は月評の中で「勝沼戦記」は戦いを暗い方から描いたもの、「明治元年」は明るい方から書いたものという意味の短評をしていられた。
「勝沼戦記」は伏見鳥羽の戦いに敗れて落ちめになってからの近藤勇と土方歳三とが、新撰組の残りを中心とする烏合の勢をひきいて甲陽鎮撫隊をつくり、甲州城にのり込もうと進むところを、勝沼で官軍に先手をうたれて包囲された物語である。