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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
だから彼の女はできるだけ電燈のそばに坐ったり歩いたりなぞしないそうだ。いつも暗いところばかり撰って歩くのだそうだ。」
と言ったときに、彼女の姿はもう人込みに揉み消されてしまっていた。
「そんな不思議な女がいまどき居るものかね。」
感嘆したような声がつづくと、
「一種のああいう病気なんだよ。あの変に白っぽい顔色を見ても何かの病持ちだということが判るじゃないか。」
と、さきのだるい声がぜいぜい続いたのである。かれはしばらくすると、そこのベンチを離れた。
そのとき日の光は、人家の屋根の上にななめにさしていた。冬近く、黄ばんだ夕方ちかい光線は、あらわに二階家の内部や、商店や飲酒店の暖簾をそめていた。この巷にきて、これらの光線を見ることは、いつも彼にとっては堪えがたい寥寥とした気持に陥らせるのであった。かれが観音堂の裏あたりへきたとき、うしろから来た男が何か言いたげに、うそうそと影のようにつき纏っていることを見いだしたのである。
かれは、若い銀杏の木のしたに来たとき、その男は、低い声で、すれすれに寄ってささやいた。
「あなたは電車の切符をおもちでしょうか。実は……。