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となんせんせい
斗南先生
「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,262 字 · 44 页
が、何の感動も起らなかった。突然、笑い声のような短く高い叫びが、彼の一人おいて隣から起った。それは二、三年前女学校を出たこの家の娘であった。彼女はハンケチで顔をおおって深く下を向いたまま、小刻みに肩のあたりを顫わせている。この従妹が三日ほど前、水の飲ませ方が悪いと言って、ひどく伯父から叱られて泣いていたのを三造は思い出した。
棺は翌朝来た。それまでに伯父の身体はすっかり白装束に着換えさせられていた。元来小柄な伯父の、経帷子を着て横たわった姿は、ちょうど、子供のようであった。その小さな身体の上部を洗足の伯父が持ち、下を看護婦が支えて、白木の棺に入れた時、三造は、こんな小さな痩せっぽちな伯父がこれから一人ぼっちで棺の中に入らなければならないのかと思って、ひどく傷々しい気がした。それは、哀れ、とよりほか言いようのない気持であった。小さな枕どもに埋まって、ちょこんと小さく寝ている伯父を見ている中に、その痩せた白い身体の中が次第に透きとおって来て、筋や臓腑がみんな消えてしまい、その代りに何ともいえない哀れさ寂しさがその中に一杯になってくるように思われた。敬われはしたかも知れないが竟に誰にも愛されず、孤独な放浪の中に一生を送った伯父の、その生涯の寂しさと心細さとが、今、この棺桶の中に一杯になって、それが、ひしひしと