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あたらしいふなで
新しい船出
宮本 百合子
女らしさの昨日、今日、明日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,508 字 · 17 页
社会の形成の変遷につれ次第に財産とともにそれを相続する家系を重んじはじめた男が、社会と家庭とを支配するものとしての立場から、その便宜と利害とから、女というものを見て、そこに求めるものを基本として女らしさの観念をまとめて来たのであった。それ故、女らしさ、という一つの社会的な意味をもった観念のかためられる道筋で女が演じなければならなかった役割は、社会的には女の実権の喪失の姿である。
女らしさは一番家庭生活と結びついたものとしていわれているかのようでありながら、そういう観念の発生の歴史をさかのぼって見れば、現代でいう家庭の形が父権とともに形成せられはじめたそもそもから、女ののびのびとした自然性の発露はある絆をうけて、決して万葉時代のような天真なものであり得なくなっているということは、まことに意味深いところであると思う。
源氏物語の時代にしろ、女らしさは紫式部が描き出しているとおりなかなか多難なものであった。仏教や儒教が、女らしさにますます忍苦の面を強要している。孟母三遷というような女の積極的な判断が行動へあらわれたような例よりも、女は三界に家なきもの、女は三従の教えにしたがうべきもの、それこそ女らしいこととされた。