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あたらしいふなで

新しい船出

宮本 百合子

女らしさの昨日、今日、明日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,508 字 · 17 页

青空文庫

原始キリスト教では、キリスト復活の第一の姿をマリアが見たとされて、愛の深さの基準で神への近さがいわれたのだが後年、暗黒時代の教会はやはり女を地獄と一緒に罪業の深いものとして、女に求める女らしさに生活の受動性が強調された。

十九世紀のヨーロッパでさえ、まだどんなに女の生活が女らしさで息づまるばかりにされていたかということは、ジョルジュ・サンドの「アンジアナ」を序文とともによんで感じることだし、ジェーン・オウスティンやブロンテ姉妹の生涯の実際を見ても感じられる。二十世紀の初頭、イギリスでヴィクトリア女皇の治世時代、いわゆるヴィクトーリアンの風俗が、女らしさの点でどんなに窮屈滑稽、そして女にとって悲しいものであったかということは、沢山の小説が描き出しているばかりでなく、今日ヴィクトーリアンという言葉そのものが、当時の女らしさの掟への憫笑を意味していることで十分に理解されると思う。

女らしさは、女にとって随分不自然の重荷であった。真に人間らしい伴侶として婦人を求めている男にとっても苦痛を与えた。従って、その固定観念への闘争は十八世紀ぐらいから絶えず心ある男女によって行われてきているということは注目すべきことだと思う。