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しんねんごうの『ぶんがくひょうろん』そのた
新年号の『文学評論』その他
宮本 百合子
「文学評論」1935(昭和10)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,976 字 · 16 页
全的人間性の登場の可能に対する観念そのものさえ蹂躙しつつ、階級社会の時々刻々の現実生活はどのようにわれわれをゆがめ、才能や天分を枯渇せしめているかという憤ろしい今日の実際を、ローゼンタールの生活と文学における性格の研究の論文はくっきりと抉り出しているのである。
このほか「全ソ作家大会報告を読みて」という諸氏の感想が『文学評論』に集録されている。平林たい子氏が、その感想の中で「社会主義的リアリズムは日本の作家の間に漫然と使用されているような超階級的なスローガンではないらしい」といって「我々の現実の再検討によって」日本の現実に即した創作方法のスローガンを要求している。
漫然と超階級的なスローガンであるかのように作家の間に使用される影響のしかたで、意味ふかい社会主義的リアリズムの提議は日本に紹介されたのであったろうか。私ははからず率直にかかれた数行をよんで沈思せずにいられなかった。
今日の現実の再検討については、新年に創刊号を出した綜合雑誌『生きた新聞』が、注意をひく二つの論文をのせている。村松五郎氏「幽霊ファッショ論」がその一つである。日本に純粋な資本主義独裁はないから、従ってファッシズムもない、という主張をもった社会時評である。